もとむら伸子(日本共産党前衆議院議員)-
国会質問

質問日:2016年 4月 19日 第190国会 国土交通委員会

物流総合効率化法改定案 物流業界の実態 反対討論

しんぶん赤旗 2016年4月25日(月)

大手優遇構造を批判 本村氏 物流効率化法改定で

写真

(写真)質問する本村伸子議員=19日、衆院国交委

 物流労働者の労働条件悪化を助長しかねない物流総合効率化法改定案が19日の衆院国土交通委員会で、自民、公明両党などの賛成で可決しました。日本共産党は反対しました。

 物流総合効率化法は、中小企業のみを対象とした流通業務効率化促進法を2005年に廃止して制定された大企業優遇法で、大手物流業にも支援対象を広げたものです。改定案は、支援対象の拡大を盛り込んでいますが、小規模事業者の活用の条件は困難なもので、効率化の名のもとに労働者の労働条件の悪化を助長しかねない内容です。

 日本共産党の本村伸子議員は採決に先立つ質疑で、物流総合効率化法施行から10年間で、総合効率化の計画認定に伴い大企業が約43億円も減税されたことを確認。一方で事業者の7割を占める小規模事業者は約2億円しか減税されていないことも明らかにしました。

 本村氏は、トラック業界の総労働時間は全産業男子と比べ年414時間も長いのに所得は133万円も低く、過労死も全産業で一番多いなどの実態を政府資料から示し、物流業界の劣悪な労働条件や人手不足の大本には規制緩和があると強調しました。

 そして、当初荷主から支払われるはずの運賃が再下請けに回るころには60%程度にまで減額されてしまうという建交労全国トラック部会の指摘も挙げて、重層下請け構造を解消するとともに、「荷主や元請け大手企業による買いたたきなど物流業界の不公正取引を是正し、小規模業者にこそ手厚い支援を行うべきだ」と要求しました。

議事録

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。

 まず、熊本県そして大分県初め九州地方の地震で甚大な被害がございました。この国土交通委員会でも黙祷をさせていただきましたけれども、亡くなられたお一人お一人に心からの哀悼の意を表したいと思います。そして、被害に遭われた全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 日本共産党も対策本部をすぐに開きまして、現地に田村貴昭衆議院議員や真島省三衆議院議員、そして仁比聡平参議院議員が駆けつけまして、地元の党組織、地方議員団、支部、後援会の皆さんと救援活動そして救援募金に全力を挙げているところでございます。

 物流にかかわりまして、この問題で少しお話を伺いたいというふうに思います。

 自主避難の方については数をまだ把握していないということですけれども、二十万人避難をされているという報道もございます。現地から、土曜日も日曜日も、とにかく水が足りないんだ、すぐに水を送ってほしい、食料品も日用品も足りないんだ、送ってほしい、そういう現地のお声がございました。

 個別にいざ送ろうと思いましても、日本郵政では、熊本行きの荷物はそのとき受け付けが中止されておりました。私も名古屋で日本郵政の窓口に行きましたけれども、熊本行きの荷物の受け付けが中止になっておりました。調べてみますと、佐川急便さんもヤマト運輸さんも日本通運さんも受け付け中止となっておりました。日本郵政さんは、きょうの九時から一定再開をしたということですけれども、しかし、一定の地域です。一部の地域。上益城郡や阿蘇市や阿蘇郡、こういうところの荷物は受け付けが停止をされているという状況でございます。

 なぜこういうことになっているのかという点、そして現状はどうなっているのかという点、お示しをいただきたいというふうに思います。

羽尾政府参考人 お答えを申し上げます。

 宅配事業者による熊本県発着の輸送につきましては、発災日の四月十四日以降、全部または一部が停止しているところでございます。なお、御指摘のとおり、一部宅配事業者におきましては、順次一部ずつ解除し、再開をされているという状況にございます。

 このような状況は、宅配事業者が現地において、国、自治体の緊急支援物資輸送を最優先として対応していくこと等のためと聞いております。

 政府といたしましては、引き続き宅配事業者を含めた物流事業者と密接に連携し、まずは被災された方々への緊急支援物資の輸送に全力を挙げてまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 私どもも、日本共産党福岡県委員会から現地の皆さんが自分たちで物資を運んでおりますけれども、高速が通じているところまで高速で行きまして、その後に地道で被災地に入り、支援物資をお届けすることができました。自分たちで行くことは難しくても、全国の皆さん、支援したいと思っておられるというふうに思います。

 益城町の避難所では一食分がパンかおにぎりだけだ、一日二食だ、こういう状況になっております。何とか早く水、食料、日用品が被災者の皆さんに、現地に届くように、国土交通省としても早急な対策を打ってほしいというふうに思いますけれども、大臣の答弁をお願いしたいと思います。

石井国務大臣 国土交通省といたしましては、できることは全てやるという政府の方針を踏まえまして、水や食料等の緊急支援物資を必要とされている被災者の方々の手元へ一刻も早く行き渡るよう、内閣府等の関係機関と連携し、物流事業者も参画をさせまして、一体となって取り組んでいるところでございます。

 具体的には、まず、幹線の物流につきましては、大手物流事業者の参画のもとに、支援物資をトラック、鉄道、内航海運を利用して輸送する体制を確保するとともに、現地の近傍、佐賀県とか福岡県に支援物資を搬入する拠点を確保しているところでございます。

 次に、その拠点から市町村が指定する場所への支援物資の輸送につきましては、熊本県、物流事業者、自衛隊と連携して、その確保に努めております。

 また、人的な支援として、物流事業者から専門家を政府の非常対策本部、また熊本県庁等に派遣するよう指示をしております。

 これらの取り組みを進めまして、緊急支援物資を必要とされている被災者の方々へ一刻も早くお届けできるように、関係機関と連携をし、取り組んでまいりたいと存じます。

本村(伸)委員 被災者の皆さんの支援のために、物流を支える皆さんに対して財政的な支援も含めて、支援物資が被災地に届くようにということで対策をぜひ打っていただきたいというふうに思います。

 熊本県内の被災地では、指定の避難所に入ることができない人たちが車などで自主的に避難をされておりますけれども、行政による支援がないために水や食料の確保が困難になっているという状況がございます。

 指定された避難所だけではなく、車の中でお過ごしの方やあるいは臨時の避難所で過ごしてみえる方、福祉施設などでお過ごしの方、そういう方々にも物資がちゃんと届くようにしていただきたいんですけれども、この点については内閣府さんにお伺いをしたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災の教訓を踏まえまして、平成二十五年に災害対策基本法の改正がされました際、市町村が避難所を指定するとともに、避難所における被災者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう規定されたところでございます。

 これを受けまして、市町村における取り組みを進めるため、平成二十五年八月に、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針というものを定めております。この中で、指定避難所として指定していない施設を避難所として使用した場合も、災害救助法に基づく国庫負担の対象となることを明記いたしまして、災害対策基本法に定めております生活環境を確保すべきことといたしております。

 この生活環境には、お尋ねの食料や物資の配布といったことも含まれておりまして、こうした取り組み指針について、このたびの地震を受け、改めて関係自治体に周知をしておりますので、今後ともその趣旨が徹底され、物資の支給を含め生活環境が確保されるよう、技術的な支援ですとか助言等を行ってまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 ぜひ徹底をしていただきたいというふうに思います。

 そして、人員が足りないというお声も聞きますので、人員の応援体制についても強化をしていただきたいと思います。

 熊本県では、災害時に国などから救援物資が来たときに受け入れる広域防災活動拠点ということで、三つの施設を事前に決めていたそうですけれども、今回の地震で全てその施設が被害を受けて、物資の受け入れができなくなったということも報道されております。

 本来は、パークドーム熊本、グランメッセ熊本、熊本県消防学校の三カ所で災害時には国やほかの都道府県などからの救援物資を集めて、各避難所にお届けをするということになっておりましたけれども、この三つの施設が全て被災をしまして、壁が崩れたり屋根が壊れたり、救援物資を受け入れることができないという状況となりました。

 熊本県では、急遽、県庁を救援の物資を受け入れるところということに決めましたけれども、広域防災活動拠点が災害時に使えないということにならないように、全国の広域防災活動拠点の総点検を要望しておきたいというふうに思います。

 また、国土交通省としても土日もなく昼夜頑張ってみえると思いますけれども、救援ですとか復旧復興、生活再建のために、ぜひ、職員の配置をふやすことも含めて、引き続き強化をしていただきたいということも要望をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、今回の物流総合効率化法について伺いたいと思います。

 この法律は、そもそも経営基盤や資金調達力の弱い中小企業の支援に限定をされていた中小企業流通業務効率化促進法を廃止して、二〇〇五年に制定をされました。

 この物流総合効率化法は、分散立地されている従来型の倉庫ですとかあるいは流通加工工場などを一体化させた特定流通業務施設ということで、特定規模以上の大型の倉庫の建設を促進して流通業務の総合化、効率化を図るというものです。

 この総合効率化事業の計画を立て、認定を受けると、税制優遇ですとかあるいは立地規制の緩和など優遇措置を受けることができることとなります。

 そこで伺いますけれども、施行時から十年間、二〇〇五年から二〇一五年に税制の特別優遇の措置の減税効果はどうなっているのか、大企業そして中小企業、小規模事業者でそれぞれお示しいただきたいというふうに思います。

羽尾政府参考人 お答え申し上げます。

 認定総合効率化計画に記載されました特定流通業務施設に対しまして、国税につきましては法人税等の割り増し償却が、地方税につきましては固定資産税等の課税標準の特例が措置されております。

 小規模事業者を従業員数二十名以下の事業者、中小事業者を従業員数三百名以下または資本金三億円以下の事業者、そして大規模事業者を中小事業者以外の事業者といたしますと、平成十七年、二〇〇五年の十月の物流総合効率化法の施行から平成二十六年度、二〇一四年度末までの十年間におきまして、国税につきましては、大規模事業者の場合、約三億八千万円、中小事業者の場合、約二億一千万円、小規模事業者の場合、約三千二百万円、地方税につきましては、大規模事業者の場合、約三十八億九千万円、中小事業者の場合、約二十五億八千万円、小規模事業者の場合、約一億九千万円の減税があったものと推計いたしております。

本村(伸)委員 今答弁がございましたように、そのお示しいただいた数字を見てみましても、やはり大手物流会社とか大手荷主子会社に支援を広げたものだということがよくわかるというふうに思います。

 大企業は内部留保もふえておりますし、もともと、大企業が収益を上げるために経営や事業の効率化をするのは、やはり大企業みずからの責任で行うべきものだと私どもは考えております。

 今回の改定案では、支援の対象となる流通業務総合効率化事業について、二以上の者が連携して行うことを前提に、多様な取り組みへと対象を拡大し、効率化を図るというふうにしております。しかし、七〇%以上を占める小規模事業者は、帰りの荷物の確保もみずからの力では限界があり、元請や二次、三次の下請、あるいは水屋と言われる手配する利用運送事業者などに頼らざるを得ないというのが現状だというふうに思います。小規模事業者が主体的に二以上の者の連携を行うということは現実的には困難であるというのが現場の皆さんの声です。

 むしろ、そういう事業者の方から心配をされておりますのは、重層下請化が進む中で、大手運送会社や大手荷主による運賃の低下やコスト削減など、効率化のツケが回されるのではないかということが心配をされております。

 今やるべきことは、荷主や元請、大手企業による買いたたき、こういう物流業界ではびこっている不公正な取引を緊急に是正すること、そしてコスト削減の圧力の犠牲にさらされている小規模事業者にこそ手厚い支援を行うことが必要だと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

石井国務大臣 これまでの物流総合効率化法では、大規模で高機能な物流施設である特定流通業務施設を中核とした輸送網の集約等の取り組みを支援の対象としてまいりました。

 今回の改正では、特定流通業務施設を中核としない地域内の共同配送等の取り組みも支援の対象とすることから、中小事業者や取扱貨物の規模が小さい地方の事業者も認定を受けやすい枠組みとなっております。

 また、従来からの中小企業を対象とした支援策である信用保証協会による債務保証の拡充や中小企業投資育成株式会社による増資の引き受けの充実の措置については、今後も継続することとしております。

 さらに、今回の改正では、例えば、小規模な共同配送に対応できるように、新たに貨物軽自動車運送事業に係る手続を行政手続のワンストップ化の対象としているところでございます。

 また、財政的な支援といたしましても、今回の改正に合わせ、平成二十八年度予算において計画策定経費の補助を創設しております。

 これらによりまして、本法案による新たな支援スキームについて、中小事業者にも積極的に活用していただくことを期待しております。

 国土交通省といたしましては、こうした支援策の活用を促すとともに、モデル事例の情報提供なども通じながら、中小・小規模事業者の取り組みを応援してまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 後で重層下請問題ですとか小規模事業者の問題については質問をさせていただきますけれども、今回の法改定では、物流業務の効率化、省力化ということで労働力不足に対応するというふうにしておりますけれども、そもそも、どうして労働力不足が生まれたのか、どうして三K職場と言われるような職場が生まれる事態に至ったのか。

 私は、その大もとには物流事業の規制緩和があるというふうに考えております。そのことについては、二〇一五年十二月二十五日の「今後の物流政策の基本的な方向性等について」という答申でも語られております。この答申では、規制緩和について、プラスに作用しなかったと書いてありますけれども、その点、お示しいただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の平成二年の規制緩和の効果につきましては、平成二十七年十二月の社会資本整備審議会・交通政策審議会答申「今後の物流政策の基本的な方向性等について」に、以下申し述べるとおり整理をされているところでございます。

 まず、この規制緩和は、競争促進によりサービスの多様化等が進み、市場の活性化という観点からは一定の成果があったと考えられるという整理がされております。

 その一方で、事業者数の増加による競争の激化、元請、下請関係の多層化の進行等により、事業者の経営環境が悪化しているということが述べられております。

 その結果、必ずしも法令遵守が徹底されず、社会保険の未加入事業者の顕在化等、市場の健全化に必ずしもプラスに作用しなかった面があるという整理がなされているところでございます。

本村(伸)委員 今御指摘がありましたように、規制緩和によって法令遵守が徹底されずという状況が横行をしているわけでございます。そういう中で、山陽道トンネルの事故のような、過労運転を生み、運転手が事故を起こしてしまうような状況になっているということだと思います。そして、社会保険などにも未加入、そういう運送原価を引き下げる事業者が顕在化している、福利厚生費も削るような、そういう職場を生み出してきたという分析だというふうに思います。

 やはり、先ほど申し上げましたように、規制緩和路線を見直すべきだということを強調させていただきたいというふうに思います。

 二〇一五年九月に実施をしましたトラック輸送状況の実態調査の結果が出ておりますけれども、労働者不足のことをどのように分析されているのか、お示しをいただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年九月に実施しましたトラック輸送状況の実態調査によりますと、調査対象となりましたトラック運送事業者のうち約七割の事業者が運転者が不足していると回答しております。

 なお、ドライバーが不足している場合の対応としては、七八・四%の事業者が下請あるいは傭車で対応するとした一方で、四七・七%の事業者は対応できず輸送を断る場合があると回答しております。

 この調査結果に見られるとおり、トラック業界の労働力不足は深刻であり、輸送の確保にも一部影響が出ているものと認識をしているところでございます。

本村(伸)委員 今答弁いただきましたように、七割弱の事業者でドライバーは不足している。不足していてどう対応するかというと、結局、下請や傭車、繁忙期に台数が足りなくなったときだけ依頼するような、そういう対応でなされているということでございます。

 今答弁いただいたのは資料の一ですけれども、資料の二枚目をごらんいただきたいんですけれども、トラック業界の営業利益率の推移ということで載せております。この全日本トラック協会の資料では、営業利益率がどんどん下がっているわけですけれども、なぜそうなっているのか、お示しをいただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 トラック運送事業は、本来の事業活動では平成十九年度から平成二十五年度まで赤字基調が継続をしております。

 この間、燃料価格の高騰等による輸送コストの増加を運賃に十分転嫁できなかったことが、トラック業界の営業利益率低下の主たる要因となっていると考えているところでございます。

本村(伸)委員 こういう状況では、労働条件が上がる見通しが立たない、人手不足が解消する見通しが立たないということになりますし、やはりこういう震災のときに人がいないということにもつながってまいります。

 二〇一五年十一月三十日の社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会、交通政策審議会交通体系分科会物流部会合同会議の中で、全日本交通運輸産業労働組合協議会の議長さんがこういう分析をされておられます。

 規制緩和後のトラック業界の現状ということで、一九九〇年十二月、参入の規制緩和、運賃の規制緩和。二〇〇三年四月、参入の規制の一層の緩和、営業区域制の廃止、保有台数の緩和、運賃のさらなる緩和。これによって道路貨物輸送業の現金給与総額の減少につながったんだと。全産業より総労働時間は二割多く、年収は二割五分から三割低い状況が続いている、規制緩和によってこういう状況になっている。改善基準告示違反や社会保険未加入など、そういう負の部分があるんだということをしっかり検証してほしいということで発言をされておられます。

 資料の三を見ていただきたいんですけれども、二〇一四年の年間総実労働時間ですけれども、全産業男子が年間二千百七十二時間なのに対し、トラックの運転手の皆さん方は二千五百八十六時間ということで、全産業男子と比べても四百十四時間も総実労働時間が長くなっている。一方で、年間の所得は右肩下がりの傾向で、全産業男子で五百三十六万円なのに対して、トラックの労働者は四百三万円だ、全産業に比べて百三十三万円も低くなっております。

 国交省さんの資料ですけれども、道路貨物運送業の中小型、小口配送をやられている方だというふうに思われますけれども、そういうところだと年間所得額というのは三百七十五万円、もっと低くなるわけでございます。

 資料四を見ていただきたいんですけれども、過労死も全産業の中で一番多い。これでは、やはり若い人が入ってこようということにはならないというふうに思います。

 こういう労働条件の抜本的な引き上げをしなければ、人手不足は深刻化するばかりだと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

石井国務大臣 御指摘のように、トラックドライバーの確保に向けては、賃金や労働時間等のドライバーの労働条件の改善が重要であります。

 このため、国土交通省におきましては、厚生労働省と共同いたしまして、荷主も構成員に含めましたトラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会を平成二十七年度に中央及び全都道府県に設置をいたしまして、長時間労働の抑制等に向けた議論を進めております。

 平成二十八年度からは、この協議会の枠組みの中で、トラック運送事業者と荷主との協働による待機時間の削減など長時間労働改善のためのパイロット事業を実施し、ベストプラクティスの創出とその普及促進を図ることとしております。

 また、去る二月十九日に開催をいたしました第三回の中央協議会におきまして、適正運賃の収受に向けた議論も開始したところであります。

 今後も、トラック運転者の労働条件の改善に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

本村(伸)委員 今、国交省の方で、中小企業庁とも連携をしまして、下請等中小企業の取引実態の把握ということで調査をされておられます。その中で、国交省がトラック運送業を調査されて、今ウエブ調査の七百三十五社の分が公表をされております。私は、この結果を見て、本当に愕然といたしました。

 その結果は、適正運賃・料金の収受ができていない、これが七〇%。荷主都合による荷待ち待機をさせられたが費用の支払いがない、七一%。燃料高騰分の費用を収受できていない、七九%。検品や商品の仕分け等の附帯作業をさせられたのに費用の支払いがない、五九%。高速道路利用を前提とした時間指定がされているのに高速道路料金の支払いがない、これが四三%。運送契約の書面化ができていない、七四%。本当にひどい実態だというふうに思います。これを改善しなければ、やはり人手不足というのは改善できないというふうに思います。

 今、先ほども大臣が答弁されましたけれども、トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会というふうなのをやっていると言いますけれども、その中身を見てみましても、とても実効ある対策がなされる、そういう展望が私にはなかなか見えてこない中身だというふうに思います。

 今お示しをしました取引の実態調査の結果を踏まえて、この実態を早急に改善させる実効ある施策を行うことを、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 先ほども御答弁申し上げたとおり、厚労省と共同してやっておりますトラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会を最大限に活用いたしまして、トラック運転者の労働条件の改善に向けてしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

本村(伸)委員 実効ある対策について御紹介をしたいというふうに思うんですけれども、トラック産業の健全化・活性化に向けた有識者懇談会の第二回のときに、全日本トラック協会の常務理事の方が出された資料が大変重要だと感じております。

 資料の五にお示ししておりますけれども、運賃の流れをイメージとして資料で出されておりますけれども、十万円の運賃をもらうとすると、まず各社が一万円の手数料を取るという想定で、一次の受託者が十万円、二次は九万円、三次は八万円、四次は七万円。七次受託者、中小運送業者、零細運送業者の段階ともなると、こういう中間で吸い取られてしまって四万円になってしまうと。

 先ほどの答申でも、元請、下請関係の重層化が進行しているということで問題視されておりますけれども、この全日本トラック協会の常務理事の方が、トラック産業の健全化、活性化のためということで幾つか提言をされておられます。その一つは、新規参入の規制の強化をやるべきだということ。そして、建設業界にはある元請事業者への責任の強化、あるいは一括下請負、丸投げの原則禁止、こういうこともやるべきだと。そして、韓国では直接運送義務制度というものがありまして、運送事業者の下請可能割合を五〇%までということで法制化したということも示しながら、下請比率を五〇%以下にして、せめて三次下請までにするということも提言をされておられます。

 これとはちょっと別に労働者の立場から、建交労さんは、実運送を一次下請までというふうにするべきだということも提言をされております。私もそのとおりだというふうに思いますけれども、こういう提言も出されている。

 改善基準告示というのは荷主の理解が得られないと遵守することが難しいという御指摘や、あるいは、荷主は、運賃のほかにも燃料サーチャージ代や有料道路の利用料金ですとか附帯業務料ですとか車両留置料ですとか、そういう書面化ガイドラインに示されているような利用料や料金、実費を、下請、実運送の事業者にそのまま払うことということを提言されております。当たり前のことだと思いますけれども、それができていない現状の中でこういうふうな提言もされております。

 こうしたことをやれば、従業員の待遇改善につながり、人手不足の解消につながるというふうに書かれております。この改革の提案というのは非常に私は大事な提言だと思いますけれども、この提言について国交省として真剣に検討をされたんでしょうか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の点、何点かございましたけれども、まず新規参入の強化につきましては、そういった御要望も踏まえまして、平成二十七年六月から新規参入時のチェック体制の強化を図ったところでございます。具体的には、運輸開始前に許可条件遵守状況のチェックの厳格化、さらには運輸開始後は早期に適正化実施機関が現地確認を行う、こういった改善を行っているところでございます。

 引き続き関係者の皆様の御意見をしっかり伺いながら、トラック業界の適正化に努めてまいりたいと思っているところでございます。

 さらには、下請の関係でございます。これにつきましても、この構造自体が労働環境の悪化等を招いているのではないかということが私どもの審議会の分析の中でもうたわれているところでございまして、これについての取り組みについては非常に重要なことであろうかというふうに思っておるところでございます。

 これにつきましては、先ほど大臣が申し上げました、厚労省とともに行っております協議会の中におきまして、さらには、官邸主導で下請等中小企業の取引条件の改善に関する関係府省等連絡会議が設置をされて、政府全体となって下請の改善ということについて議論を進められているところでございますけれども、この中で、トラック事業につきましては、荷主と元請、さらには下請間の取引について、契約の書面化、適正な運賃の支払い等の実態を把握して、必要な対策を検討してまいりたいと考えているところでございます。

本村(伸)委員 建交労全国トラック部会の皆さんも重層的な下請構造による弊害というのを指摘されておりまして、トラック運送業界では重層的な下請構造がまかり通っているんだと。下請はさらに下請、孫請へ、そしてさらに下請、ひ孫請へと回されていくのが常態化しているということを指摘されておりまして、当然、元請は荷主から受けた運賃をそのまま下請へ払うのではなく、一〇%から二〇%の事務手数料、マージンを差し引いて下請へと回す。下請が孫請へ回す際にも同様なんだと。当初荷主から支払われるはずの運賃が最下請へ回るころには六〇%程度にまで減額をされてしまっているということを指摘されておりまして、この重層的な下請構造というのは、重層的な収奪構造にほかならないというふうに指摘をされております。

 これに、近年増加をしております大手製造会社などを親会社とした、自社車両は少ないか、もしくは、ない物流子会社が絡むと、さらにこの収奪構造は厳しくなる。契約解除をちらつかせながら、運賃の引き下げを強要するということにとどまらず、配車ですとか運行管理まで支配力を及ぼしてくるというふうに言われております。この重層下請構造、重層的な収奪構造を可能にしているのが、貨物利用運送事業法であり、貨物自動車運送事業法だということで、こういう重層下請構造を許してはならないというふうに思います。

 伺いたいのは、この重層的な下請構造を改善させるために、自社でトラックを持たず貨物情報をあっせんする、下請に流す利用運送業者や、あるいは、大手製造会社などを親会社としている、自社車両は少ない、もしくは、ないという物流子会社の実態を国交省は把握しているのかという点、そして、この重層的な下請構造を改善させるためにも、利用運送業者や物流子会社の実態を国交省は把握して、一定の自社運行比率を義務づけるなど法的な規制を強化するべきだと思いますけれども、大臣、お答えいただきたいと思います。

羽尾政府参考人 委員御指摘の、利用運送事業や大手製造会社等の物流子会社からトラック事業者への下請の実態調査につきましてでございます。

 私ども国土交通省では平成二十六年に、トラック輸送における適正な取引や輸送の安全確保を図るため、貨物利用運送事業者とトラック運送事業者の取引関係や輸送の安全確保に関する実態調査を実施いたしました。

 この調査結果によれば、一部の貨物利用運送事業者において、トラック運送事業に関連する法令等の理解が不十分であることが示されていました。

 また、本年二月には、官邸主導の下請等中小企業の取引条件の改善に関する関係府省等連絡会議における取り組みの一環としまして、トラック運送事業者間の取引関係の実態調査を実施したところです。なお、この調査は、御指摘の利用運送事業や大手製造会社等の物流子会社からトラック事業者への下請に限定したものではございません。

 ただ、この調査結果によれば、トラック事業者の七〇%が適正運賃・料金の収受ができていない、あるいは、二七%が原価を考慮せずに一方的に運賃を決定されたなどと回答いたしております。

 私どもとしましても、この調査結果を受けまして、利用運送事業者に対して、トラック運送事業に関する講習会への参加の要請、監査の強化充実、各地方運輸局、運輸支局の適正取引相談窓口の周知などを行うことによりまして、関係法令の理解の促進、不当な行為の防止を図っております。

 本年度も、引き続き、トラック運送事業に関する講習会への参加要請を行うとともに、昨年度、各地方運輸局、運輸支局の適正取引相談窓口に相談のあった貨物利用運送事業者に対する重点的な監査を行うことにより、トラック運送事業の取引環境の改善、輸送の安全確保に一層努めてまいりたいと考えております。

本村(伸)委員 物流業界ではびこる不公正な取引を緊急に是正していただきたいと思います。そのためにも、大臣が、物流業界を所管する大臣として、重層的な下請構造の解消や運賃の引き上げ、賃上げ要請など、荷主も含めて物流業界に直接要請をしていただきたいということを最後に要請いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。


反対討論

○本村(伸)委員 私は、日本共産党を代表して、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 日本共産党は、もともと二〇〇五年、物流総合効率化法が制定された際、中小企業のみを対象とした流通業務効率化促進法を廃止し、大手物流業にも支援対象を拡大する大企業優遇策だと反対しました。
 実際に、総合効率化計画認定にかかわる減税も、大企業が十年間に国税、地方税合わせて四十二億七千百万円減税され、中小企業を上回っています。七〇%以上を占める小規模事業者に至っては、十年間でわずか二億二千九十万円しか減税はありませんでした。資金力のある大企業は、みずからの責任で効率化や省力化の取り組みを行うべきです。
 本改正案は、支援の対象となる事業について、二以上の者が連携して、多様な取り組みへと対象を拡大し、効率化を図るとしています。
 しかし、トラック運送事業の小規模事業者は、帰りの荷物の確保もみずからの力では限界があり、元請や二次、三次下請、あるいは手配をする水屋と呼ばれる利用運送事業者などに頼らざるを得ない現状があります。経営基盤も資金調達力も脆弱な小規模事業者が主体的に効率化事業を行うことは、現実的には困難だというのが現場からの声です。
 今やるべきは、重層下請構造を解消し、荷主や元請大手企業による買いたたきなど物流業界にはびこる不公正取引を是正することです。
 また、改正案は、労働力不足に対応するとしていますが、労働者を確保し、育成するようなものではありません。労働者がいなくても済むように、効率化し、省力化するものであります。これでは、人員削減や長時間過密労働など、労働条件の悪化を助長するケースも生じかねません。
 よって、本改正案には賛成できないことを表明し、反対の討論とさせていただきます。(拍手)

○谷委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――

○谷委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

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