もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2019年 2月 5日 第198国会 総務委員会

地方交付税総額特例法案

2019年2月5日 しんぶん赤旗

地方交付税総額特例法案  本村氏が反対討論 衆総務委

 衆院本会議で5日、2018年度中の地方交付税原資の大部分を、来年の地方交付税総額に組み込む地方交付税総額特例法案の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決・成立しました。日本共産党は反対しました。

 これに先立ち、日本共産党の本村伸子議員は同日の衆院総務委員会で、同法案への反対討論を行いました。

 本村氏は、各年度の途中で地方交付税原資が発生した場合、その年度の特別交付税に加算して地方自治体に配分すると規定している地方交付税法の主旨に、同法案は反すると批判。「多くの地方自治体にとって、住民福祉や公共インフラ維持などのために、一般財源の確保が喫緊の課題なっている」「現行法の規定にそって特別交付税として配分・交付すべきだ」と主張しました。

議事録

○本村委員 日本共産党の本村伸子です。
 冒頭、この委員会が委員長職権で開催されていることに対し、強く抗議をいたします。この委員会、そして予算委員会を含め、民主的な運営をぜひしていただきたいということを強く求めておきたいと思います。
 予算審議の前提であります毎月勤労統計調査始め政府統計の不正について質問をしたいというふうに思います。
 間違った統計の発表のもとで間違った方向に世論誘導がなされることがないように、政治からの独立性など、しっかりと担保されなければならないというふうに考えております。
 今回の毎月勤労統計調査など不正の調査の前にも、かなり深刻な統計の不正事件として、経済産業省の繊維流通統計調査における不正事件が二〇一六年十一月に発覚をいたしました。これは、過去のデータを長期間そのまま使用する、あるいは、これらの数値の一部について六年間でゼロにするという不正があり、これも統計委員長が捏造と激怒をした事件でございました。
 この不正事件は、経済産業省が調査をして関係者を処分をいたしましたけれども、この調査というのは内部調査で、そして、訓告と厳重注意のみという大変軽い処分で終わってしまいました。政府において、統計の不正をやっても訓告や厳重注意で済むという軽い認識があったのではないかというふうに言わざるを得ないというふうに思います。
 この繊維流通統計調査は、統計委員会の中からも、委員から疑問が出されましたけれども、廃止をされてしまいました。これも問題だというふうに思っておりますが、まず、この繊維流通統計調査の不正事件について、経済産業省はどのように原因分析されているか、お示しをいただきたいと思います。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
 繊維流通統計調査につきましては、平成二十八年十一月に不適切な処理が行われていたことが判明した後、事案の背景、事実関係等を調査し、原因分析を実施するとともに、再発防止策を取りまとめ、統計委員会に二度にわたり報告をいたしました。
 二回目の報告に当たる平成二十九年二月の統計委員会では、原因分析の結果として四点、報告をしております。一点目は、組織として統計人材を育成する取組が十分ではなかったこと、二点目は、統計業務の重要性についての管理者の意識の不足、三点目は、不十分な遵法意識と不適切な行政文書の管理、四点目は、外部からのチェックの不足ということでございます。
 経済産業省としては、こうした事態が再び起きないよう、調査部局によるヒアリング並びに第三者によるレビューの実施でありますとか調査計画のホームページでの公開など、透明性の向上と文書保存の徹底、さらには、調査実施の管理職向けの会議でありますとか担当者向けの研修の実施など、再発防止策に取り組んでいるところでございます。
○本村委員 この繊維流通統計調査のときも不正があり、原因が言われているわけですけれども、また同じようなことが毎月勤労統計調査の中でも原因として指摘をされているわけでございます。
 この二〇一六年十一月に発覚をしました繊維流通統計調査の不正事件を契機に、総務省が、二〇一七年一月に各府省に対して、統計法遵守についての統計調査などの一斉点検を実施をいたしました。
 しかし、今回の毎月勤労統計調査の不正は、二〇一七年一月の時点でも、東京の五百人以上の事業所は全事業所調査ではなくて三分の一しかやっていなかったわけですけれども、統計法に反する調査をしていたわけですけれども、総務省の一斉点検では見抜けなかったわけでございます。この二〇一七年の統計調査の一斉点検は、今回の統計の不正を把握し、正す機会であったはずでしたけれども、そういう機能をしていなかったということでございます。
 公的統計の司令塔としての役割を果たすという総務省が、この繊維流通統計調査の現場の実態と不正の原因分析を踏まえて一斉点検をやったかということが問われているというふうに思います。
 そこで、具体的にお伺いをしますけれども、資料を出させていただいておりますが、資料の一を見ていただきたいんですけれども、文章の下から四行目のところに、詳細なヒアリングもやるんだということが書かれております。二〇一七年一月二十日までに報告してくださいと各府省に送って、報告を踏まえて詳細なヒアリングをやるというふうに書かれておりますけれども、この二〇一七年一斉点検で、基幹統計について、どの省庁にどの統計で問題があったのかという点と、詳細なヒアリングをどういうふうに行われたかということをお示しいただきたいと思います。
○横田(信)政府参考人 今ございました一斉点検についてでございます。
 平成二十九年に実施いたしましたこの一斉点検は、先ほどございました繊維流通統計調査の問題をきっかけとして行ったものでございます。
 これにつきましては、承認された調査計画と実際の調査内容の相違について報告を求めたということでございます。
 これにより、十六の基幹統計について、承認された計画と実際の内容との間に相違があったということが把握されました。
 相違が多かったのは公表の遅延ということでございまして、全体の四分の三を占めておりました。
 この際、各府省からの報告内容について、確認が必要な場合についてはヒアリングを行って確認を行ったところでございます。
○本村委員 今回問題になりました毎月勤労統計調査や賃金構造基本統計などは、詳細なヒアリングは行われたんでしょうか。
○横田(信)政府参考人 毎月勤労統計調査と賃金構造基本統計調査につきましては、厚生労働省から報告はございませんでした。その結果、ヒアリングは実施しておりません。
○本村委員 二〇一七年の一斉点検の際に、厚生労働省は、毎月勤労統計調査、賃金構造基本統計について何と回答したんでしょうか。
○横田(信)政府参考人 調査計画の内容と実際の内容に相違があるという報告を受けたわけではございません。
○本村委員 厚生労働省がこの一斉点検の際に問題がないとうそをついたということは大問題でございます。しかし、総務省や統計委員会がもっと踏み込んで調査をしていれば、不正は見抜けたわけでございます。
 この繊維流通統計調査の不正の原因分析にもありましたけれども、外部からのチェックということが必要であるということでございましたけれども、そういう意味も含めて、総務省や統計委員会がもっと踏み込んで調査するべきだったというふうに思います。
 二〇一七年一月のこの一斉点検ですけれども、どのような体制で一斉点検をやったのか。書類だけの点検ではなく、ヒアリングですとか実地調査ができるようなそういう人員の配置、体制があったのか、お示しをいただきたいと思います。
○横田(信)政府参考人 平成二十九年の一斉点検につきましては、体制といたしましては計十五名で実施しております。
 それから、報告内容について、確認が必要な場合についてはヒアリングは行っておりますが、調査実施府省への実地調査は行っておりません。
○本村委員 この二〇一七年の一斉点検で百三十八の統計調査で問題が見つかって、そちらの対応で手いっぱいになるような体制であったということだというふうに思います。
 この繊維流通統計調査の不正の原因分析で、先ほど四つ指摘をされておりましたけれども、一つ目として、十分な人材育成が必要だったこと、二つ目に、管理者の統計の重要性の深い認識に基づくチェックがなされていること、三点目は、十分な遵法意識、適切な行政文書の管理がされていること、四つ目が、踏み込んだ外部からのチェックが必要であること、こういうことがわかっていたのに、なぜこういう内容の一斉点検にならなかったのかということを総務大臣にお伺いしたいと思います。これは総務大臣で通告をしております。
○横田(信)政府参考人 これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、経済産業省所管の繊維流通統計調査の不適切な処理を契機として調査を行ったものでございます。
 相違の原因となった背景事情につきましては、当方としては、当時、横断的な取りまとめは行っておりませんでした。これにつきましては、その後の変更承認申請における審査において個々に確認は行ったところでございますが、繰り返しになりますが、横断的に取りまとめを行ったということは行っておりません。
○本村委員 今回の毎月勤労統計調査の不正によって、賃金が二十一年ぶりに物すごく上がったかのような偽装が行われ、二千万人の方々に被害を与え、そして、日本の統計の信頼性を大きく揺るがしたわけでございます。
 これから、五十六の基幹統計、二百三十三の一般統計という膨大な公的統計について、総務省は、政府統計検証チームを総勢約三十人の体制でやるんだ、あるいは、統計委員会の中に点検検証部会をつくってチェックをするというふうに言われておりますけれども、先ほど四つ指摘をさせていただきましたけれども、四つの点を含め、十分な人材育成や統計の職員体制、あるいは、システムやプログラム改修の際のダブルチェックができる体制になっているかという点、そして、管理者が統計の重要性の深い認識があるかという点、深い認識に基づいて担当者にチェックがなされているか、また、十分な遵法意識を持っているか、適切な行政文書管理がなされているか、踏み込んだ外部からのチェックがやられているか、この点についてしっかりとチェックをして統計不正を二度と起こさないようにするべきだと思いますけれども、これは総務大臣に通告をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○石田国務大臣 先ほど来の委員とのいろいろの御議論があったわけでございますけれども、御指摘のように、今回の事案を受けまして、統計委員会に新たに点検検証部会を設置して、基幹統計、そして一般統計調査について徹底的な点検、検証を行うこととしているところでございます。
 今御指摘のいただいたような点を含めまして、この点検検証部会で、徹底的に、再発防止、あるいは統計の品質向上を目指して検証が行われるものと思っておりまして、総務省といたしましても、先ほど御指摘いただきましたように、総勢三十人から成るチームを編成をいたしまして、統計委員会、この点検検証部会の活動をしっかり支えていきたいというふうに考えております。
○本村委員 もう一つなんですけれども、都道府県の統計専任職員についてもお伺いしたいと思います。
 毎月勤労統計調査についての都道府県の統計専任職員の数について、二十年前と最新の数字をお示しをいただきたいと思います。また、都道府県の統計専任職員の方がかかわる基幹統計で、それぞれの統計で統計専任職員の体制がどうなっているのか調べるべきだと考えますが、お答えをいただきたいと思います。
○横田(信)政府参考人 基幹統計調査の実査等の事務につきましては、都道府県統計主管課のほかにもさまざまな部署が所管していることから、全体の数を把握するということはなかなか難しいところでございます。
 統計主管課の統計専任職員、これの定数につきましては、平成十年度が二千三百七十八人であるのに対しまして、平成三十年度は千六百七十一人ということになっております。
○本村委員 この二十年間で七百七人、総務大臣が決める定数が減らされているわけでございます。ただでさえ国際的に見ても体制が貧弱という状況の中で、総務大臣、歴代の総務大臣の責任も大きく問われているというふうに思います。
 次に、総務省が二〇一七年の一斉点検を受けてつくった再発防止策について伺いたいと思います。
 資料の二つ目なんですけれども、二〇一七年四月二十日の統計委員会に出した総務省の資料ですけれども、その中で、「総務省としての今後の対応」という中で「再発防止策の強化」がございまして、主要な統計調査について、改善のPDCAスキームを今年度から実施し、統計精度の観点から調査内容をチェックとあります。二〇一七年から今までどういうことをされてきたんでしょうか。
○横田(信)政府参考人 平成二十九年に実施いたしました一斉点検におきましては、再発防止策の観点から、主要な統計調査について、改善のPDCAスキームを今年度から実施し、統計精度の観点から調査内容をチェックすることとしたところでございます。
 これを受けまして、平成二十九年度から、統計委員会の横断的課題検討部会のもとに、統計の精度向上及び推計方法改善ワーキンググループを設置し、統計精度に関する計画的な検査を実施したところでございます。平成三十年度には、統計業務プロセス部会を新設し、既存の統計全般について、順次、事後的なモニタリングに着手したところでございます。ここまでが現在でございます。
 その後、今回の事案判明を契機といたしまして、今申し上げました統計業務プロセス部会、これを発展的に改組いたしまして、点検検証部会という形に今度新設したところでございます。ここにおきまして、基幹統計や、さらには一般統計調査を含めまして徹底調査を、徹底した検証を進めるということで行ってまいりたいと思います。
○本村委員 二〇一七年度の段階で改善のPDCAスキームがしっかりと機能していれば、今回の不正はなかったわけでございます。
 そしてもう一つ、「再発防止策の強化」の二つ目として、政策統括官が行う、統計調査の承認プロセスにおいて、事後のチェックに重点を置いた仕組みを構築とありますけれども、二〇一七年度から何をやっているか、お示しをいただきたいと思います。
○横田(信)政府参考人 平成二十九年に実施いたしました一斉点検におきましては、再発防止策の観点から、統計調査の承認プロセスにおいて、事後チェックに重点を置いた仕組みを構築するところといたしました。
 これを受けまして、平成三十年度から、基幹統計、一般統計調査の承認審査におきまして、再発防止策として、事後的なチェックに重点を置いた取組を試行的に開始し、本格実施に向けた検討を進めていたところではございました。
 さらに、今回の事案判明を契機といたしまして、先ほど来申し上げております点検検証部会、ここにおきまして、徹底した検証、これまでの反省も含めまして、進めてまいるということでございます。その結果を承認審査プロセスの本格実施に向けた検討に生かしてまいりたいということで考えておるところでございます。
○本村委員 総務省の二〇一七年の一斉点検が体制上も弱く書類の点検だけになってしまった、また、再発防止策といいながらやはり十分できていなくて言葉だけであったというふうに言わざるを得ないというふうに思います。
 統計調査の現場の実態をしっかりとつかんで、かみ合った対策を立てて実行することこそ統計の司令塔の役割だ、総務省、統計委員会の役割だというふうに思います。二〇一七年の一斉点検、再発防止策について深い反省そして総括なくしては真の再発防止策はとれないというふうに思います。総務大臣の答弁をお願いしたいと思います。
 そして、もう一つなんですけれども、やはり、国や都道府県の統計の体制を抜本的に増員する必要がある、そして、早急に強力な統計専門職の育成体制を再構築、増強する必要があると思いますけれども、総務大臣、最後にお願いしたいと思います。
○石田国務大臣 本当に、この統計にかかわる問題については、今、先ほども申し上げましたけれども、統計委員会の点検検証部会、そして厚労省の特別監察委員会で調査等を行っているわけでありますけれども、しっかりその結果を踏まえて対応していかなければならないというふうに思っております。
 その中にはいろいろとやるべきことがあるわけでございまして、総務省としては、国や地方自治体の統計職員を対象とした、統計知識や統計的思考力の習得のため、研修の充実、あるいはオンライン研修による研修受講機会の拡大などをしっかりやっていきたいと思っておりますし、また、昨年四月に、政府全体を通じた統計人材の確保・育成方針を作成をいたしました。
 各府省におきましては、この方針に沿って、計画的な採用、OJTや研修を通じた能力開発、外部の専門人材の活用など、戦略的、重点的な統計人材の確保、育成に取り組むこととしたところでございます。
 また、統計委員会からは、昨年七月、こうした取組について、統計リソースを重点的に配分する必要がある旨、建議をいただいており、今後、公的統計の信頼性を確保するため、これらの取組を更に推し進めてまいりたい、そのように思っております。
○本村委員 統計委員長を呼んでの集中審議を委員長に求め、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

 

 ―――――――――――――
○江田委員長 これより討論に入ります。
 討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子君。
○本村委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税の総額の特例法案に対し、反対の討論を行います。
 地方交付税法は、各年度途中で地方交付税原資が生じた場合、その年度の特別交付税に加算して地方自治体に配分すると規定しています。
 また、地方財政法では、加算、配分された交付税は、地方自治体が自主的に判断し、災害により生じた経費や緊急に必要とされた経費、また、積立てや地方債の償還財源に充てると定めています。
 しかし、本法案は、二〇一八年度の途中に生じた地方交付税原資五千三百十一億円の大部分を、特例措置によって、来年度の地方交付税総額に組み込むものです。これは、地方の固有財源である地方交付税は速やかに地方自治体に配分し、地方自治体自身がその使い道を決するという法の趣旨に反するものであり、認めることはできません。
 従来から、政府は、年度途中に生じた地方財源の増額分を次年度の交付税に繰り越す特例措置を繰り返してきましたが、多くの地方自治体にとって、住民福祉や公共インフラの維持などのため、一般財源の確保が喫緊の課題となっています。
 地方交付税法、地方財政法に背くやり方を続けるのではなく、現行法の規定に沿って、特別交付税として配分、交付するべきです。
 大阪北部地震、豪雨災害、台風、北海道胆振東部地震など、深刻な自然災害が相次ぎ、特別交付税の規定により交付する災害関連経費が当初の見積りを大幅に超過したことから、災害関連経費として七百億円を増額することは、特別交付税で交付する災害関連経費以外の諸経費への減額影響を避けるためにも、当然の措置です。しかし、半壊や一部損壊世帯に対する自治体独自の支援を始め、被災者支援やなりわいの再建のためには、更に十分な一般財源が求められています。
 以上を申し述べ、反対討論といたします。
○江田委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○江田委員長 これより採決に入ります。
 平成三十年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○江田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

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参考資料

https://motomura-nobuko.jp/wp-content/uploads/2019/08/04d31e2aef94e9fbcbf91b1c2bacd961.pdf

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