もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
レポート

1時間3分間、野田聖子総務大臣に質問~地方財源、障がい児保育、豊橋市竜巻被災者など

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 2月22日、衆議院総務委員会で、地方交付税法、地方税法の改定案にかかわって、1時間3分間、野田聖子総務大臣に質問しました。

テーマは、
◆地方自治体の基金
◆地方自治体の一般財源総額の十分な確保を!
◆障がい児保育
◆インフラ長寿命化事業
◆災害時の自治体間職員派遣
◆豊橋市竜巻被災者の方々への生活再建支援を!
◆建設職人基本法関連

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◆障がい児保育◆

 障がい児保育の分野では、野田聖子総務大臣と心が通うような質疑となりました。

 こうした分野は、与野党を超えてもっと力を合わせなければなりません。

※ただし、長年の自民党政治のもとで、障がい者・児の予算額は低く抑えられてきたことを許すことはできません。

 

 厚生労働省の実態調査では2016年度に認可保育園で預かった障がい児数が10年間で約2倍に増加しています。
 
 厚労省からの要求を受け、総務省は障がい児保育にあてる地方交付税を18年度に400億円程度から800億円程度に拡充しています。

 交付税の算定基準を、保育所在籍児童総数で算定する方法から各市町村の実際の受け入れ障がい児数に応じた算定に変更しました。

 私は「障がい児の健やかな発達を後押しする点で非常に重要な対応だ」と述べました。

 その一方、「子ども・子育て支援新制度」で「保育の必要性」の認定基準に設けられている「就労等」の要件が、障がい児を持つ保護者が利用する際の「壁になる」と指摘し、改善を要求。子どもの成長にとっての最適性を基準にした認定についての検討を求めました。

 私は「障がい児保育に限らず自治体が努力している分野がある。自治体が担う事業の財政需要をしっかり把握する必要がある」と述べました。

 

 野田聖子総務大臣は「自治体の自主性を踏まえつつ、一般財源総額を確保したい」と答弁しました。

 

 

 さらに、私は、ある自治体の「育成保育実施要綱」を紹介しました。
 
 その第1条には、目的として、「この要綱は、心身の障害にかかわらず、こどもたちが保育園においてともに育ちあうなかで、お互いを分かり合い助け合える豊かな人間性を育み、安全で健やかに生活できる統合保育を目的とする。」とされ、対象児童を「保育園における保育を必要とする児童」としています。
 こうした自治体の要綱には、保護者の就労・疾病等による「保育に欠ける」ことのみを要件とするのではなく、障がいの予知・早期発見、障がいの種別、程度の個別の検討、最も適した集団の場、保育・養育の場の確保などを掲げた、つまり、子どもにとっての最適性を基準にした障がい児保育になっています。

 保護者、保育関係者、地域の皆さんがこうした障がい児保育をつくりあげている障がい児保育が、障がいを持った子どもたちの健やかな発達と、障がいをもった子どもたちをもつ保護者の方々への支援に果たす役割について、野田聖子総務大臣に認識を質問しました。

 答弁にたった野田聖子総務大臣は、少し涙ぐむような表情のようにみえました。その表情で、どれだけご苦労があったのかと胸が締め付けられるような思いがしました。

 その時の野田聖子総務大臣の答弁を紹介します。
 それは、障がいをもった子どもさんをもつ多くの親御さんの声でもあると思うからです。

「お答えいたします。
 私個人も障がい児の母として7年目を迎えました。さまざまな困難に直面して、その都度、仲間のお母さんたちやお父さんたちと愚痴を言い合いながら、又はそのいろんな知恵を交換し合いながら生き延びてきた感がございます。

 国会では待機児童の議論がなされているんですが、そもそも、重い障がいを持つということは、待機するところもない、入れてもらえるところもないというのが現実というところをご理解いただければいいなと思います。

 そういう点では、今回こういう形で、委員も褒めていただいたんですけれども、変わりゆくことで、今まで門戸を閉ざされていた、障がいを持つがゆえに保育園にも言えない、幼稚園にも行けないという子どもが、うちの息子を含めてたくさんおりますので、そういう子どもたちも、今委員がおっしゃったように、社会の一員として共生の中で健やかに生きていけるような、温かい日本でありたいと思っています。

 いただいた資料の中にも、実は障がい児保育の概要の中に区分があるんですけれども、身体、知的、精神、発達障がいというのも、きちっと、他の障がいと違って、手帳の有無とか、いろいろまだまだ悩ましい問題もありますし、私の息子の障がいの場合は、おととしの法改正で、ようやく医療的ケア児ということで新たな障がい児として一員に加わったわけですけれども、それ以前は障がい児としても認めてもらえず、過去につくられた障がい児の対応の中に、隙間として、もがいていた親がたくさんいます。

 そういうことをやはり変えていくために、こういう常々算定を見直すことによって、どちらかというと、障がい児というのは親が面倒をみるべきという何か流れがあります。そうでなく、やはり、みんなで、地域で支え合っていこうというような社会形成がこういうような形で醸成されると非常に喜ばしい、個人的にはそう思うところであります。」

◆地方自治体の基金を理由とした地方交付税削減を許さず、一般財源総額の十分な確保を◆

 質疑のなかでは、町村がとりわけ将来不安から基金を積み増していることなど指摘したことにたいし、野田聖子総務大臣は、「町村においては、
公共施設等の老朽化対策の備えが基金積立ての大きな要因となっていることから、公共施設等適正管理推進事業債について、来年度からは、長寿命化事業等の交付税措置率を財政力に応じて引き上げるなど、財政力が弱い団体であっても必要な取組を着実に推進していただけるよう、環境整備を図ってまいります」と答弁しました。

 さらに、6月の骨太方針にむけて、地方の財源確保をめぐって厳しい議論になってくると思うが、総務省として、法定率の抜本的な引上げということをしっかりと据えること、あわせて、自治体の財政需要を正しく把握して、地方の財政の一般財源総額を確保するということが今まで以上に求められていると質問。

 野田総務大臣は、「政府において、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、本年の骨太方針においてプライマリーバランスの黒字化達成時期及びその裏づけとなる具体的な計画を示すこととしており、二〇一九年以降の地方の一般財源総額のあり方についてもこの中で議論されるものと考えています。その際、地方団体が、予見可能性を持ちながら、必要な行政サービスを提供しつつ安定的な財政運営を行っていけるよう、地方交付税を始め、一般財源総額を確保すべく、最大限の努力をしてまいります。」と答弁しました。

◆インフラ長寿命化事業◆

地方債の関係で、インフラ長寿命化事業についても質問し、地方自治体の要望を踏まえて拡充することを求めました。
総務省からの答弁は、「インフラ長寿命化事業につきましては、公共施設等適正管理推進事業債の一つとして創設したものでございますが、道路、農業水利施設等を対象施設としまして、平成二十九年度に創設いたしました。このため、まだ年度を通じた活用状況の見込みは明らかではございませんが、現時点における今年度の起債予定額は約八十六億円となっております。

平成三十年度からは、地方団体の老朽化対策の取組を一層推進するために、関係省庁と協議いたしまして、対象施設に新たに河川管理施設、港湾施設、砂防関係施設などを加えることとしております。 また、財政力の弱い地方団体におきましても、この長寿命化事業を適時適切に実施できますよう、交付税措置率を財政力に応じて引き上げることとしております。」
地方自治体の要望をふまえて拡充することを求めたのにたいし、
野田聖子総務大臣は、「引き続き、地方の意見をしっかり丁寧に伺いながら、既存のインフラの長寿命化対策を計画的に進めることによって、将来にわたる財政負担の軽減や平準化を図るというインフラ長寿命化事業の趣旨をしっかり踏まえつつ、制度のあり方や運用について検討を重ねてまいります。」と答弁しました。

◆豊橋市の竜巻被災者の生活再建支援を!◆

 昨年8月7日に発生した台風5号の竜巻によって、愛知県豊橋市では、住宅が、全壊3棟、半壊6棟、一部損壊52棟の被害がありました。住宅以外の被害もありました。
被害に遭われた方々に心からのお見舞いを申し上げます。
この豊橋市の竜巻被害にあわれた方々のケースで大問題になっているのが、被災者生活再建支援法の対象外になっている問題です。

被災者生活再建支援制度は、1自治体10戸以上の全壊世帯を対象に最大300万円を支給するというものですが、この豊橋市のケースでは、市内で全壊が3棟だから、そして、ほかに被災者生活再建支援法の適用がないから、一つの市町村で全壊10棟未満、だから救済しないということになっています。
被災者の方々からは、何とか救済する制度はないだろうかという切実な訴えがあります。
「 なぜ、同じ全壊という被害に遭いながら被災者生活再建支援法の適用がないのか、本当におかしい。同じ全壊という被害であれば同じように救済するのが当然だ」と指摘。
加えて、愛知県の制度が豊橋市の被災者を救済するものになっていない問題も指摘し、県の救済制度がない場合でも、市町村が独自に被災者支援をすると決めた場合には特別交付税を交付するなど、何らか国としての財政措置をとるべきと質問しました。
総務省は、「市町村が実施する支援策によりまして、仮に市町村の財政運営に支障が生じるような場合、そういうことがございますようなことがありましたら、その実情等をよくお伺いしながら、適切な対応を考えてまいりたいと考えております。」と答弁しました。

最後に野田聖子総務大臣に、「災害によって被災を受けても、救済される方々と救済されない方々がいる。 こうした事態をなくし、全ての被災者を救済する仕組みを、内閣府、そして総務省などが連携して検討していくことが求められている。野田大臣、ぜひ検討を」と求めました。

野田聖子総務大臣は、「被災者生活再建支援法については、まずは制度を所管する内閣府、きょうはいろいろ先ほども答弁がありましたけれども、地方の御意見を十分に聞いていただき御検討いただく必要があり、総務省としては、その検討状況を踏まえながら対応していきたいと考えます。 今後とも、被災者の生活再建を含め、被災団体の実情を丁寧にお伺いし、特別交付税措置を含め、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じ、その財政運営に支障が生じないよう、今局長がまさに答弁しましたけれども、適切に対応してまいります。」と答弁しました。

◆災害時の自治体間職員派遣◆

 東日本大震災や熊本地震の被災地応援職員の派遣の状況について、2017年4月1日現在、東日本大震災の被災地方公共団体に対して、一般事務職員854名、土木建築職員737名など、計1782名が派遣されています。
また、熊本地震の被災地方公共団体に対しては、一般事務職員96名、土木建築職員130名など、計279名が派遣されています。
今でも多くの職員が他の地方自治体から派遣をされ、頑張っています。
しかし、派遣を行う自治体も人員に余裕がなく、要請に応えたくても応えられない実態があります。
昨年3月16日の新聞報道によれば、京都府11町村は、2017年度から東北への職員派遣をやめたとのこと。
 その理由は、府町村会の調整役の方がお願いに回っても、退職者が多く、派遣元の日常業務に当たる職員すら足りないと断られるということだったそうです。

 職員派遣の制度を整えるというのは非常に重要なことです。
 一方で、自治体職員の数、とりわけ、継続して行政サービスに当たることができ、経験を蓄積できる正規職員の数がふえなければ、安定的に機能することはできないわけです。
また、平時から一定余裕を持った職員の数を確保できるように、財政措置も含めた支援を行うべきだと質問しました。

野田総務大臣からは、「職員管理に関しては、災害対応を含め地域の課題をしっかり解決していくため、各地方公共団体において、組織として最適と考える任用、勤務形態の人員構成、めり張りのある人員配置など、適正な定員管理に取り組んでいただくことが重要であると思います。 二つ目ですけれども、そして、各地方団体においては、災害対応を含め地域の課題をしっかり解決していくため、組織として最適と考える任用、勤務形態の人員構成、めり張りのある人員配置、重複しますけれども、そのことをしっかり取り組んでいただかなければならない。 平成三十年度の地方財政計画におきましては、教職員等を除く一般職員については、職員数が、今お話がありましたように、防災とか福祉関係を中心に増加している実態等を勘案して、増を見込んでいるところであります。 今後とも、地方団体の実態等を踏まえながら、適切な職員数の計上に努めてまいります。 」との答弁がありました。

◆建設職人基本法関係◆

 最後に、時間がなく次回に回した部分もありますが、建設職人基本法関係で質問しました。

 現在の都道府県計画の策定状況と建設職人基本法のかなめの一つである安全健康経費、安全衛生経費が、工事費とは別枠で、重層的な下請構造のもとでも、現場で働いている下請中小企業の方々、一人親方の方々を含めて、現場で働く人たちにしっかりと支払われるようにすることを都道府県、市町村に徹底することを求めました。

 総務省からは「建設職人基本法によりまして都道府県が策定するよう努めるものとされております都道府県計画につきまして、国土交通省が昨年十一月から十二月にかけて実施した調査によりますと、平成三十年度までに十二の団体が策定する予定となっております。 総務省といたしまして、これまで都道府県に対して、さまざまな機会を捉えて積極的な取組を要請してきておりまして、具体的に都道府県計画の策定に向けた検討を進めている団体があると承知しているところでございます。
今後とも、関係府省と緊密に連携いたしまして、都道府県に対して、建設工事従事者の方々の安全及び健康の確保が推進されるよう働きかけてまいります。
また、安全衛生経費についてでございますが、これは、平成二十九年の八月に関係省庁の申合せによりまして策定された建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインというのがございまして、そこにおきましては、安全衛生経費などの必要経費にしわ寄せが生じないよう、請負代金内訳書などに明示すること等によりまして、適正な請負代金による請負契約を締結することが明記されたところでございます。また、下請契約におきましても、これらの必要経費を含んだ適正な請負代金による下請契約を締結することが明記されております。
総務省といたしまして、ガイドライン策定に合わせ、各地方公共団体に対して、ガイドラインの遵守のため、速やかに準備を整え、取組を強化するよう、国土交通省との連名通知により要請したところでございます。
今後とも、適切な機会を捉えて、安全衛生経費などの必要経費を含んだ適正な請負代金による請負契約が締結されるよう、地方公共団体に対して要請してまいりたいと思います。」と答弁しました。

1時間3分の質問時間をもらいましたが、足りませんでした。

 引き続き、さまざまな分野の問題解決に頑張ります!!!

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