もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
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【11・11・19】設楽ダム建設予定地の深層崩壊・水漏れを考える ~国土問題研究会 調査結果報告会~

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 11月19日、豊橋市内で開催された「設楽ダム建設予定地の深層崩壊・水漏れを考える ~国土問題研究会 調査結果報告会~」に参加しました。

 会場いっぱいで、マスコミの方も取材にきていました。
 
 国土問題研究会は、工学博士、理学博士、技術者のほか、コンサルタント、教員、弁護士、労働者、学生、住民運動関係者、自治体職員、議員等も参加し、科学技術者の社会的責任を自覚し、住民のための安全で住み良い地域づくり・国土づくりやそのための科学技術がどうあるべきかを調査研究のなかで具体的かつ実践的に明らかにしていくことをめざしている研究会です。住民・市民が頼りにできるこうした研究会があること自体、本当にありがたいことです。

 設楽ダムの建設中止を求める会の代表である市野和夫先生のごあいさつのあと、同会副会長の伊奈紘先生が、市民により設楽ダム事業の検証(岩盤・地質編)をテーマに話されました。さらに、国土問題研究会の紺谷吉弘先生が、「地質学的に見たダムサイトの諸問題」というテーマでお話されました。

 伊奈先生などが、さまざまな機会に以前から言っていたことが、国土問題研究会の調査結果として出てきたという感じがしました。

 地盤の研究者である紺谷先生は、設楽ダム建設予定地の地盤が、全国のなかでもダム建設にふさわしくない地盤だと言われました。

 そして、ダムをつくると大規模地すべりや田口のまちの液状化を進めるなど災害を招く可能性もはっきりしました。

 ばかげた設楽ダム計画をみんなの力でやめさせなくては!

【伊奈先生のお話】(先生の報告書のことも記載)

 
●国土交通省は、設楽ダム建設予定地の地盤は硬くダム建設に支障はないというが、本当か?

●設楽町の方々は、以前から
1.ダム工事が始まると、地盤の弱い松戸集落は崩壊して、なくなってしまう
2.ダム湖に水を張ると、その水が田口市街地の下を抜け、荒尾地区に噴き出す
3.ダムができるとダム湖周辺の山で土砂崩れ、がけ崩れが頻繁に起こる
4.大地震が起こるとダム本体やダム周辺部の山が壊れ、清崎、田内地区に甚大な被害が出る
 こういっていたそうです。 

●危険その1 ダムサイト予定地は断層銀座だった

 伊奈先生は、電源開発株式会社が1963年3月にまとめた調査報告書の在りか(設楽ダム工事事務所)をつきとめ、報告書を確認。ダムサイト予定地が断層銀座であることが明らかなこの報告書もあって電源開発は、ダムを建設することを断念しました。

 さらにダム周辺部には、大小無数の断層が走っており、中には田口市街地を縦断し、断層の北側の地盤が下方へ約100m、南西側に約500mもズレている。地図上にも載っていない多くの小さな断層が存在し、岩盤の破砕や風化、透水の原因になっている。

●危険その2 ダムサイト着岩予定の岩盤はきわめて脆弱

 ダムサイト予定地は、左右両岸とも岩盤の風化が激しく、地下40~50mも風化した部分が広がる。

 右岸側のダムサイト直下の「緩みゾーン」は、着岩地として避けるが、深層崩壊が心配されている。

 左岸側には透水性の高い部分があり、水抜けの心配がある。原因は、珪質片麻岩。硬いが、亀裂が大きく、真下に開口している。特に貫入している閃緑岩との接触部が顕著で、ダムサイトの高さのほぼ中央部まで高透水の心配がある。「ダムサイトの位置を決めるのに避けて通れない問題(H20年度報告書)」とされているが、対策は未だに立てられていない。未だにダムをどこにつくるか正式に決まっていない。

 2008年度報告書では、「なお、特異な地形として松戸集落付近には、東西方向の谷状地形が発達する」とあり、これがもし岩盤クリープ(岩盤が長い年月の間に重力でたわんで、表面に亀裂が生じること)という現象なら、ダム湖に水を張ることによって深層崩壊する心配がある。

●危険その3 ダム湖に水を張ると水漏れする

 田口の平地の地質は概ね堆積層(礫岩、砂岩、泥岩、凝灰岩など)からできている。この堆積層の下は、領家帯と言われる片麻岩や貫入した花崗岩類を中心とした岩盤(基礎)で、両者の接触部分(不整合面)は風化が激しく、透水の心配がある。

 ダム湖に水を張るとこの不整合面から水が浸透し、しかもこの不整合面が南東方向に傾斜しているため、田口の平地の下を通り、荒尾方面に漏れ出す危険性がある。最悪の場合、水の溜まらないダムになる。

●危険その4 ダム湖周辺はがけ崩れ土砂崩れ(深層崩壊)の危険がいっぱい

 過去に地滑りがあった場所、今後地滑りの可能性がある場所はボーリング調査。ただし、深部までの調査はほとんどしていない。田尻地区、小松地区、川向地区、大名倉地区と広範囲。「地滑りブロックはダムの貯水に伴い不安定化する可能性がある」と国交省提出資料に明記されている。田尻地区には、多くの地滑りブロックがある。田尻地区が深層崩壊(土砂崩れ)すれば、田口の平地には人が住めなくなる可能性もある。

 県道瀬戸設楽線のヘアピンカーブあたりで、2011年の台風6号でがけ崩れのあったところだが、「貯水に伴って上部(山頂あたり)まで崩壊する心配があり、湖面の上に出る部分を削り取り、法枠工、アンカー工が必要」

ダム湖に水を張ると、ダム湖の周辺部で多くのがけ崩れが起こり、ダム湖は意外に早く埋まってしまうとか、大地震によって深層崩壊が起こるという心配はあながちウソではなさそうだ。
 

【国土問題研究会の紺谷吉弘先生のお話】(先生の報告書のことも記載)

 
●設楽ダム予定地はどのような場所か?
○空間の法則・・・岩石配置の特徴 (1)西南日本の帯状構造、古い日本列島の構造→大陸の縁辺部の変動帯、領家編成帯の形成、(2)設楽盆地、横ずれ断層に伴う沈降、(3)火成活動(貫入岩)
○時間の法則・・・どのような過程を経たか ?中世代の地殻変動、領家変成帯の形成、中央構造線の活動、?日本海の形成、古い構造の破壊、中央構造線の活動、?伊豆半島の衝突

●国土交通省発注の設楽ダムに関する地質調査でも指摘されている「懸案事項」(1992年)
○地質及び地質構造、断層の性情
○ダムサイト付近の岩盤の緩み、風化、被覆状況
○松戸地区の二重山陵地の成因・・・右岸のゆるみが激しい
○第三紀層と先第三紀層との境界状況の把握・・・貯水池外への漏水が懸念
○ダムサイトの地滑り・崩壊地の調査
 →この懸案事項がほとんど解決されないままダム建設を前提とした各種調査が行われている

●ダム設計に見られるマニュアル主義とご都合主義
○岩盤等級はCh級で可とする
○断層は低角断層とその連続性及び断層粘土・熱水変質のみ問題とする
○マサ(粗い砂粒)化した貫入岩(二次的流れ盤)を軽視
○地下水位を浅く見積もっている
○孔内傾斜計は測定の最初と最後の差で比較し、変化を見ない
○開口亀裂は10mm/mで安全とする

●ダムに貯水すると、貯水池から地下水として田口を通り、荒尾に抜ける。地下水の変化は、田口市街の地下水位を押し上げ、液状化や、地下水汚染、地滑り、地下浸食を引き起こす可能性がある。

●松戸地区の平坦面や強風化部の成因が、断層やクリープ変動、大規模地すべりなどによるものであった場合、ダムの掘削に伴って大規模地すべりや斜面崩壊に伴う地盤の沈下、地下水位の低下、沢水の減少などが松戸地区に発生する可能性が考えられる。

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