もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
レポート

【11・09・07】電力会社の労働組合(電力総連)―54年ぶりに「原発推進」を盛り込まない方針

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 9月7日の朝日新聞7面に小さな記事が出ていました。

 「電力総連の定期大会が6日、名古屋市で始まり、東京電力福島第一原発を受け、54年ぶりに『原発推進』を盛り込まない運動方針案が示された。7日に採択する。」

 54年ぶり・・・。

 電力会社の労働組合(連合系)は、それまでずっと推進してきたんですね。

 国会には、関西電力出身の民主党の藤原正司参院議員がいますが、民主党の原子力発電の位置づけが07年を境に「過渡的エネルギー」から「基幹エネルギー」に変化したことを電力総連の機関紙(07年6月1日付)のインタビューで明かし、「我々の産業からしたら、当たり前のことが当たり前に理解されるのには、時間もかかる」と語っていました。(しんぶん赤旗報道)

 この方は、今、さぞかし恥ずかしい思いをされているのではないでしょうか。

 
 以前、中部電力で働いていた良心的な労働者の方が、原発に反対したら、ものすごい攻撃、いやがらせを受けたと言っておられました。
 
 労働組合まで、原発推進一色で、原発に反対すると村八分。
 
 民主主義はなく、言論、思想、信条の自由を奪われた職場だったのですね。

 そんなことまでしなければ、推進できない原発には、やっぱり未来がありません。

 民主的な議論をしっかりと行って、過去のあり方も反省していただき、働く人たちの被曝などを防ぐためにも電力総連の皆さんも原発からの撤退を方針として持っていただきたいです。

労使一体 原発推進    電力会社献金―役員は自民 労組は民主

 
労使一体 原発推進
電力会社献金 役員は自民 労組は民主

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 東京電力など電力会社の役員が個人献金を自民党側に組織的におこなう一方、労組の政治団体は民主党側に献金―。電力会社が労使一体となって政界に影響力を強め、原発を推進してきた構図が本紙の調べで浮き彫りになりました。

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民主
電力総連が9100万円
07~09年 新増設へ効果抜群

 原発を推進する電力会社の労組である電力総連(全国電力関連産業労働組合総連合)の政治団体「電力総連政治活動委員会」と、その関連政治団体が、2007~09年の3年間で、献金やパーティー券購入、研修会費などで、少なくとも9100万円を民主党側に提供していたことがわかりました。

 電力総連政治活動委員会の現在閲覧可能な07~09年の政治資金収支報告書を調べたもの。

 これによると、「東京電力労働組合政治連盟」など各電力会社の労組の政治団体からの「負担金」をおもな原資として、民主党本部や旧民社党の国会議員・地方議員でつくる政治団体「民社協会」のほか、判明しただけで13人の民主党国会議員に計9135万円の資金提供をしていました。このなかには、事務所も事務担当者も電話番号も同じ政治団体「サクセス三田会」を迂回(うかい)したものもあります。(図参照)

 民主党本部は448万円ですが、議員では、元東電労組副委員長の小林正夫厚生労働政務官が4000万円、元関西電力労連会長の藤原正司前参院経済産業委員長が3300万円と、両参院比例議員が群を抜いています。

 このほか、民主党が野党時代の「次の内閣」で経済産業副大臣だった吉田治衆院議員、中山義活経産政務官が各500万円、民主党の原子力政策・立地政策プロジェクトチーム座長の川端達夫前文部科学相が32万円、同事務局代理の近藤洋介衆院議員が16万円など。閣僚では、江田五月法相、松本剛明外相が各5万円。

 電力総連は小林、藤原両氏を組織内候補として民主党参院比例議員に連続当選させるなど、労組の「票とカネ」の力を背景に民主党に影響力を行使。民主党の原子力政策を、「過渡的エネルギーとして慎重に推進」(2005年総選挙政策)から、原発の新増設や輸出を積極的に進める方向へと、展開させた大きな役割をはたしたとみられます。

 献金の効果は抜群です。

 政府が東電福島原発事故の後、中部電力の浜岡原発の運転中止を要請した際、藤原参院議員は、「防潮堤のかさ上げが終了し、国の安全審査をパスした場合、国は責任を持って再稼働を約束できるのか」と、みずからのホームページで“懸念”を表明しています。

 196万円の資金提供を受けていた民社協会メンバーの直嶋正行元経済産業相が座長を務める同党の「成長戦略・経済対策プロジェクトチーム」は、7月28日、エネルギー政策に関する提言を政府に提出。安全性が確認された原発については「着実に再稼働」させるよう求めています。

自民
個人献金の6割超
09年 役職でランク付け

 自民党の政治資金団体「国民政治協会」が2009年に受け取った個人献金のうち、6割以上が東京電力など電力会社の役員によるものであることがわかりました。

 電力業界はかつて鉄鋼、金融とともに「献金ご三家」といわれ、自民党側に多額の献金をおこなってきましたが、石油ショック後の1974年、電気料金値上げへの世論の批判をかわすために企業献金をやめています。

 しかし、役員の役職によってランクづけされた個人献金という形で、事実上の企業献金は各電力会社とも続けられてきました。

 09年の場合、本紙の調べによると、東京電力の47人、計569万円など、沖縄電力をのぞく9電力会社の役員(OBもふくむ)206人が2791万5000円の献金を国民政治協会におこなっていました。

 同協会への政治資金収支報告書に名前が記載される5万円以上の個人献金は、自民党国会議員をのぞくと、御手洗冨士夫前経団連会長(キヤノン会長)トヨタ自動車の豊田章一郎名誉会長、宗岡正二新日鉄社長の各30万円など、計364人による計4330万7000円。

 電力会社役員による同協会への献金は、人数にして56・6%、金額にして64・5%を占めるという突出ぶりを示しています。

 また、約2800万円という献金額は、原発メーカーの東芝、日立製作所の各3850万円にも、ひけをとりません。

(2011年8月17日(水)「しんぶん赤旗」付)

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