もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
レポート

【10・07・28】国連・子どもの権利委員会から日本政府への勧告を学ぶ

カテゴリー:

 
 7月28日、2010年6月に国連・子どもの権利委員会が日本政府にたいしてだした「最終見解」を改めて学びました。

 こうした国際的な視点をいかして、子どもたちが幸福だと思えないような日本のあり方を早く変えていかなければなりません。

 とくに注目した委員会の見解は、以下の通りです。

(※外務省の仮訳を見たため、本来のトーンが薄まっている可能性もあります。)

 
●「委員会は、貧困状態にある児童・障害のある児童・外国籍児童の就学率や、学校における暴力やいじめを含む、条約がカバーするいくつかの分野に関するデータの欠如に懸念を表明する。」

●「委員会は、締約国に、児童の権利が侵害される危険にさらされている児童についてのデータを収集する努力を強化することを勧告する。締約国はまた、条約の実施を効果的に監視し、評価する指標を作成し、児童の権利の分野における政策の効果を評価するべきである。」

●「委員会は、締約国が、児童の権利を含む人権について、児童と共に及び児童のために働くすべての人々(教師、裁判官、弁護士、法執行官、報道関係者、全てのレベルの国家及び地方公務員を含む)に対し、系統だった継続的な研修プログラムを作成することを要請する。」

●「委員会は、地域社会、特に、企業活動から生まれるいかなる有害な影響からも特に児童をはじめとした地域社会を保護する目的で、企業セクターが企業の社会的・環境的責任についての国際及び国内基準に適合することを確保するために、締約国が規約を制定し、実施するための効果的な対策をとるよう慫慂する。」

●「委員会は、締約国が現在の立場を変え、両性ともに婚姻適齢を18歳とすることを勧告する。」

●「委員会は、締約国が、男児であれ女児であれ、強姦の被害者すべてに同様の保護が与えられるよう刑法改正を検討することを勧告する。」

●「委員会は、児童・青少年の自殺、及び自殺・自殺未遂のリスク要因についての調査が欠如していることに、以前として懸念を有する。」

●「委員会は、締約国が児童による自殺のリスク要因を調査し、防止措置をとり、学校にソーシャルワーカー・心理相談サービスを備えさせ、かつ、児童への指導システムが困難な状況にある児童に追加的なストレスを与えることがないように確保する勧告する。委員会はまた、締約国が、公的・私的を問わず、児童のための施設を備えた機関が、適切な最低限の安全基準を遵守することを確保するよう勧告する。」

●「委員会は、親子関係の悪化に伴って、児童の情緒的及び心理的な幸福に否定的な影響を及ぼし、その結果、児童の施設収容という事態まで生じているとの報告に懸念を有する。委員会は、これらの問題が、高齢者介護と若者との間に生じる緊張状態、学校における競争、仕事と家庭を両立できない状況、特に、ひとり親家庭に与える貧困の影響といった要因に起因している可能性がある問題であることに留意する。」

●「委員会は、締約国が、子育ての責任を果たす家族の能力を確保できるように男女双方にとって仕事と家庭の間の適切な調和を促進すること、親子の関係を強化すること、及び、児童の権利に関する意識を啓発することなどにより、家族を支援し強化するための措置を導入することを勧告する。委員会はまた、児童の施設収容を防止するため、社会制度が不利な境遇にある児童や家族を優先し、適切な財政的、社会的及び心理的支援を提供するよう勧告する。」

●「学校や大学への入学のために競争する児童の数が減少しているにもかかわらず、過度の競争に関する苦情が増加し続けていることに懸念をもって留意する。委員会はまた、高度に競争的な学校環境が、就学年齢にある児童の間で、いじめ、精神障害、不登校、中途退学、自殺を助長している可能性があることを懸念する。」

●「委員会は、締約国が、質の高い教育と児童を中心に考えた能力の育成を組み合わせること、及び極端に競争的な環境による悪影響を回避することを目的とし、学校及び教育制度を見直すことを勧告する。」

●「委員会は、日本の歴史教科書が、歴史的事件に関して日本の解釈のみを反映しているため、地域の他国の児童との相互理解を強化していないとの情報を懸念する。」

●「委員会は、締約国に対し、公的に検定されている教科書が、アジア太平洋地域の歴史的事件に関して、バランスのとれた視点を反映することを確保するように勧告する。」

●「委員会は、以下を締約国に勧告する」「(d)国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書(2000年)を締結すること。」

●「委員会は、締約国の第2回政府報告の審査後の買春を含む児童の性的搾取の件数の増加に改めて懸念を表明する。」

●「委員会は、締約国に対し、児童の性的搾取の事案を捜査し、加害者を訴追し、性的搾取の被害者にカウンセリングその他の回復の支援を提供する努力を強化するよう勧告する。」

●「委員会は、締約国に対し、適当な場合には、適切な検討とさらなる行動のため、これらの勧告を、特に、高等裁判所、内閣、国会及び地方自治体の関係者に伝達し、勧告が完全に実施されることを確保するためあらゆる適切な手段を講じることを勧告する。」

© 2010 - 2024 もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)