もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
くらし守る

【10・02・24】愛知県漁業協同組合連合会と懇談~漁業への強力な支援の必要性や設楽ダム問題でご意見をお伺いしました~

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 2月24日、愛知県漁業協同組合連合会を訪問し、和出隆治常務、熊谷昭総務部長兼企画指導課長と懇談しました。
 かわえ明美比例予定候補、八田ひろ子元参院議員、佐々木朗県政策委員長と一緒に伺いました。

 愛知県漁業協同組合連合会の資料のなかでは、愛知県の漁業について以下のように述べています。
 「愛知県の漁業は、伊勢湾、三河湾、渥美外海(遠州灘)という豊かな海と大消費地(名古屋)を控えた立地条件を背景として、多くの魚種(クルマエビ・クロダイ・アナゴ類・スズキ・シラス・イカナゴ・アサリ類・ノリなど)において全国有数の産地であり、沿岸域を中心に特色ある漁業が営まれています。
 しかし、愛知県の漁業を取り巻く情勢は、戦後の経済発展の中で海域環境の変化は著しく、沿岸の各種開発に伴う干潟・浅場・藻場の喪失、伊勢・三河湾の富栄養化による赤潮や貧酸素水塊の発生などの影響により漁場生産力の低下、更には、漁価の低迷や漁業後継者不足、就業者の高齢化、加えて、燃油の高騰と相まって、漁業・漁協経営は、非常に厳しいものとなっております。」

 こう分析されているように、こうした厳しい状況のなかで、国が漁業を基幹産業としてしっかりと位置づけ、日本の漁業を守るために強力に支援することが求められています。私たちもそのために力を尽くしたいと思っています。

 新政権が2011年度に実施する予定と報道されている所得補償制度については、団体加入で、一人が加入しないと言えば団体ごと加入できない現在の漁業共済が、漁業所得補償制度の土台になると、すべての漁師が救済されないものになってしまうという心配の声が出されました。また、所得補償制度だけでは、愛知の漁業を守ることができないと指摘されました。
 また、ノリ養殖の厳しい状況について、価格をコンビニ業界などから一方的に決められる問題や、食生活の変化によるノリの需要の低下なども影響していることについても語られました。

 話題は、設楽ダムと六条潟に及びました。

 「漁師は、自然はなぶっていいことはないということは分かっている」と語られ、アサリの生産日本一を支える六条潟は、愛知県の漁業の「生命線」であると述べられました。
 そして、設楽ダムが建設されると、この六条潟に悪影響があるのではないかと懸念し、設楽ダム建設が海域に影響を及ぼさないというなら国が科学的な根拠をしめすように要求してきたと語られました。
 愛知県漁業協同組合連合会では、国土交通省が推薦する研究者を含め、研究者に設楽ダムの影響についてアンケートを行ったとのことで、その結果を教えていただきました。

アンケートの回答では、
1、豊川河口域六条干潟周辺海域のアサリ稚貝の発生に与える影響可能性について
(1)「ダムの水量管理による流量変化や取水による流量の減少が河口域の塩分を上昇させたり、流れを減少させ、アサリの浮遊幼生の生息環境や六条干潟域への幼生の供給量を減少させる可能性はあるか」という問いにたいして、「ある」と答えた研究者が9名、「ない」と答えた研究者が2名、「わからない」が2名。

(2)「環境保全措置の有無に関わらず想定される水温上昇が河口域のアサリ浮遊幼生や着底稚貝の生残や成長に影響を与える可能性はあるか」という問いにたいして、「ある」6名、「ない」2名、「わからない」5名。

(3)「ダム貯水池や下流河川内にシルト分、有機物量が多いヘドロ等が平常時に堆積し、それが環境保全措置や洪水時等に流出することで、干潟域の底質が泥化し、稚貝の着底や成育に影響を与える可能性はあるか」という問いにたいして、「ある」11名、「ない」2名、「わからない」0名。

(4)「ダム貯水池内でノリ養殖、アサリ等にとって必要な新鮮な植物プランクトン、藻場の生育に必要な無機態の窒素やリン、微量栄養素が、有機物に変化することで水中から枯渇して海域に流入しなくなる可能性があると思われるが、このことで六条干潟域のアサリ等が影響を受ける可能性があるか」という問いにたいして、「ある」9名、「ない」2名、「わからない」2名。

(5)「河川から供給される良質な砂の供給が減少することにより、河口域の干潟の性状が変化し、稚貝の生息に悪影響を与える可能性はあるか」という問いにたいして、「ある」9名、「ない」2名、「わからない」2名。

2、湾全体の流動や貧酸素化への影響について
 「河川水が内湾に流入すると、エスチュアリー循環と呼ばれる水の循環が生じると言われています。既往の知見によれば三河湾では、エスチュアリー循環による鉛直循環流の流量は、河川水量と比べると夏に9倍、冬に21倍であったということです。エスチュアリー循環は、内湾の海水交換の重要な要素であり、栄養塩や酸素を湾内に供給する機能を持っていますので、ダムによる取水量が設楽ダム建設により増加したり、洪水時を中心に流量調整が行われると、内湾の海水交換に変化が生ずると推測されますが、その可能性はあるでしょうか」という問いにたいして、「ある」9名、「ない」2名、「わからない」2名。

「さらにこのことは、三河湾の貧酸素化に影響を及ぼす可能性はあるのでしょうか」という問いにたいして、「ある」9名、「ない」2名、「わからない」2名。

 この研究者のアンケートの結果を示しながら、愛知県漁業協同組合連合会は、独自に設楽ダムの影響について調査をするので、国土交通省も協力するように求めたそうです。
国土交通省からは当初、「協力する」と言われたそうですが、その後、「(政権交代で)分からなくなった」と言われているそうです。

 愛知の漁業の「生命線」である六条潟を守るためにも私は、「設楽ダムをやめさせるためにがんばりたい」と決意を述べました。

 このほかにも、港湾の溜まったヘドロをかき出した後、そのヘドロを業者が海に捨てるために、漁場に影響がでる問題について、それを規制する必要性なども述べられました。

 大変貴重なご意見や活動をお伺いできて、とても勉強になりました。
 

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